任天堂の「Wii」と「Nintendo Switch」事例から学ぶデザイン思考

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ゲームに没頭する子ども 事業企画の基礎知識
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駆け出しプロデューサー
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デザイン思考の概念や考え方などは別の記事を読ませていただいたので概ね理解ができました。デザイン思考の海外の事例はお送りますが、日本の事例で何か良い事例はありますか?

BizDevPro
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任天堂のデザイン思考の実践がよく日本を代表する事例として取り上げられます。これまでのゲーム業界の当たり前を壊すなど破壊的イノベーションの事例としても見られますが、デザイン思考の実践例としても参考になる部分が多いと思います。以下に解説します。

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「Wii」や「Nintendo Switch」が生まれる前のゲーム業界について

任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」や「Nintendo Switch」の事例は有名なデザイン思考の活用事例です。

これまでの「Wii」が出る以前のゲーム業界は私もだいぶお世話になったゲーム機も多いですが、ファミリーコンピューター(ファミコン)から始まり、Play Stationやセガサターンなど一人で没頭する事を前提としたゲーム機が当たり前でした。

親からは「いつまでもゲームをしているんじゃない」「ゲームばっかりして」「家族の時間を壊す」などなど、ゲーム=悪というネガティブな印象を持つ方も多かったのではないでしょうか。任天堂はこのようなゲーム機の当たり前を根本から見直し、デザイン思考で再定義をしました。その結果、生まれたのが「Wii」や「Nintendo Switch」です。

任天堂の「Wii」に学ぶデザイン思考の実践例

任天堂はデザイン思考の概念を商品開発に適用した事で有名です。「Wii」はご存知な方も多いでしょうが、スティック状のコントローラーを手に持ち、身体を動かす事で操作ができるゲーム機です。手元でコントローラーを持ち、画面を見続けながらゲームをするスタイルではなく身体を動かしながら直観で操作ができるゲームを生み出しました。当時出た時は全く異質のゲームが登場した事で驚いた記憶があります。

ゲーム機のポジショニングを再定義し、これまでのゲーム機の概念を覆し、ユーザーにとっての新しい価値を定義する事で新しい市場を創り出した事例と言えます。つまり、冒頭で述べたような「家族の時間を壊し、子どもにとって悪影響なもの」というものから「家族で楽しむことができて、親子関係をよくするもの」に変革させたという事ですね。

なぜこのような、他社では全く考えつかなかったものを任天堂が生み出す事ができたのでしょうか。任天堂はユーザー(ここでいうとゲームをしてる子どもではなく親)の立場に立ち、ユーザーにとって何が価値のある事なのかを徹底的に仮説検証を繰り返しています。「Wii」は1000回以上もプロトタイピングを繰り返して、やっと完成版ができたそうです。 ここでの学びはスモールスタートで小さく始め、仮説検証を繰り返しながら徐々に完成形を目指すというアプローチ方法が有効という事です。

任天堂の「Nintendo Switch」に学ぶデザイン思考の実践例

「Wii」の事例で述べたような任天堂のデザイン思考の考え方は「Nintendo Switch」にももちろん継承されています。「Nintendo Switch」は新型コロナウィルスの巣ごもり需要もあり店頭から在庫が消えて買えなくなるほど、爆発的なヒットを果たしました。

「Nintendo Switch」におけるデザイン思考の実践としては「みまもりSwitch」が挙げられます。冒頭で述べたこれまでの親 vs 子どもという対立関係を実に見事に緩和しています。

「みまもりSwitch」を利用してみるとよく分かりますが、アプリでは子どもがどんなゲームをどの程度プレイしたのかがわかるようになっているのですが、子どもの嗜好を理解する事が難しい親のためにゲーム画像が表示されていたり、プレイ時間の制限についても曜日別に制限時間が変えられたり、制限時間が到来した場合の強制終了も強制終了するorしないが選択できるようになっています。子どもの行動を制限するという目的に沿うだけであればここまでの機能はいらないはずですが、ここまで丁寧に作られているのは親と子どものコミュニケーションや関係性を重要視しながら家族の体験作りを徹底的に行っているからだと思います。

なぜ任天堂はデザイン思考を実践できたのか

任天堂は1889年創業ですので相当な老舗で、かつ大企業です。任天堂には暗黙の社是として「娯楽に徹せよ。独創的であれ。」という言葉が存在しているといわれています。全社員がこの社是の元で先鋭的な動き方ができるところに任天堂の強さがあるのではないかなと思います。これまでファミコンなど数々のヒットと共に成長している企業ですから、既存事業にしがみつき、大企業病やイノベーションのジレンマに陥ってもおかしくないと思いますが、マインド面で克服する土壌が完成しているのでしょうね。

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