色々と手探りながらも新しい取り組みをしようとしていますが、うちのトップが新規事業と大号令を発している割には現場が非協力的というか、何か白い目で見てくるというか、とにかくやりにくさを感じるんです!
既に成熟した企業、特に過去に強い成功体験を持っていたり、強烈に強い既存ビジネスを保有している大企業では既存ビジネスを推進する組織や風土・文化が足かせとなり新しい取り組みがやりにくい状況を生み出してしまっている状況はよく見かけます。
イノベーションのジレンマ 新規事業開発を阻む課題と阻害要因
NEDOは、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)とともに、日本のイノベーション創出の現状と課題、日本企業のイノベーション実現に向けての方策の提示を目的に、「オープンイノベーション白書 第三版」を策定しています。
https://www.nedo.go.jp/library/open_innovation_hakusyo.html
オープンイノベーション白書の中身は以下の通りとなっており、国内外のイノベーション事例から新規事業の取り組みの実状がまとめられており参考になります。
- イノベーションの重要性と変遷
- 各国・各業界におけるイノベーション創出の経緯
- 日本におけるイノベーション創出の現状
- 国内・海外のイノベーション推進事例
- 日本のイノベーション創出に向けた課題と方策
- イノベーション創出に向けた活動報告
一つ前の版ですが、第二版を参考に新規事業推進を阻む課題や阻害要因をまとめましたので参考までに共有を致します。これらは1社単独では中々解消も難しいですが、他者とのアライアンスやジョイントベンチャーの設立など乗り越えるための手段が複数ありますので、そう悲観的になる必要はないと思います。
イノベーションのジレンマ クリステンセンの提唱した理論
クレイトン・クリステンセンが、1997年に初めて提唱した、巨大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の理論。
大企業にとって、新規事業や新たな技術は、小さく魅力なく映るだけでなく、カニバリズムによって既存ビジネスを侵食するという見られ方をする事が多いです。
イノベーションのジレンマの発生メカニズム
イノベーションのジレンマを抱えたままの組織では新規事業を創出するどころか、現時点では市場においてリーダーの立ち位置にいたとしても、市場の中で徐々に競争優位性が失われ、やがて衰退に一途をたどる運命にあります。
- 第1段階持続的イノベーションの重視、破壊的イノベーションの軽視
優良企業は、顧客のニーズに応えて従来製品の改良を進め、ニーズのないアイデアを切り捨てる。イノベーションには、従来製品の改良を進める「持続的イノベーション」と、従来製品の価値を破壊して全く新しい価値を生み出す「破壊的イノベーション」がある。優良企業は、持続的イノベーションのプロセスで自社の事業を成り立たせているため、破壊的イノベーションを軽視する。
- 第2段階持続的イノベーションの限界
優良企業の持続的イノベーションの成果は、ある段階で顧客のニーズを超えてしまう。そして、それ以降、顧客は、そうした成果以外の側面に目を向け始め、破壊的イノベーションの存在が無視できない力を持つようになる。
- 第3段階新たな破壊的イノベーションの台頭
他社の破壊的イノベーションの価値が市場で広く認められる。その結果、優良企業の提供してきた従来製品の価値は毀損してしまい、優良企業は自社の地位を失ってしまう。
NEDOの調査結果と重なる部分があると思います。大企業に所属していながら新規事業をやっているとつくづく感じるのは、既存事業をやっているチームと新規事業をやっているチームが共存した組織はイノベーションを進めるどころか悪循環に陥る可能性が高いだろうという事です。
これまで述べたような新規事業の推進を阻む壁を乗り越えるには両利きの経営という考え方が有効であると思います。(両利きの経営はまた別途解説します。)
ここでは簡単に解説しますが、両利きの経営とは「新たな事業機会の発掘(探索)」と「既存の事業の深掘り(深化)」をうまくバランスよくやりましょうという事です。お互いを排除し合うのではなく、新規事業も既存事業もお互いの価値や位置づけを認め合い、補完し合いながら共存していくような考え方が重要だと思います。
新規事業開発において大企業が抱えるジレンマ
大企業で新規事業開発をしていると、いわゆる大企業病が新規事業開発を阻むシーンがよくあります。
大きな会社で新規事業開発をしている方が上記を見ると「あるある~」と共感いただけると思いますが、こうした環境の中で新規事業開発を行うとただでさえ低い成功確率をさらに低く押し下げてしまう事に繋がってしまうと思います。
JVなどの出島を作り、うまく回避するための作戦を練ることが大切だと思います。
コメント
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