新しいサービスを世に出そうとしたときにやっぱり気になるのは競合の存在なのですが、競合との差別化や自身のポジショニングを整理するのによい手段はありますか?
ラリーケリーによって提唱され、「10 types of innovation」という書籍も刊行されている、イノベーションを起こすための10のポイントを使うとよいと思います。イノベーションが起きる際に必要な要素が10分類で整理されていますので覚えておくとよいですよ。
イノベーションを起こすための10のポイント 10 types of innovationとは?
海外ではラリー・キーリーという方によって「Ten Types of Innovation: The Discipline of Building Breakthroughs」という書籍が、日本では平野敦士カール氏によって「ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10」というタイトルで書籍が出ています。
イノベーションはそれぞれに特徴的な「10タイプ」に分類でき、ビジネスを変えるイノベーションを生み出すためには、その「10タイプ」を慎重に統合し、成功に向けては必須であると説明されています。
検索エンジンで検索してもほとんど出てきませんので情報が少ないのですが、10タイプの物差しで競合の特徴を分析してみて差別化戦略を描くなど非常に使い勝手がよいと思いますので、細かく解説をしたいと思います。
イノベーションを起こすための10のフレームワーク
構成 – Configration
収益モデル – Profit Model
どのようにして収益を得ているか、というビジネスモデルに着目します。
リーンキャンバス的にいうと圧倒的な優位性に結びつくようなビジネスモデルやマネタイズモデルかどうかがポイントになりますね。
- ライデンシング
- 会員制
- 従量制
- ライセンス供与
- プレミアム
- リスク・シェアリング
- 大規模取引
- 定額制
ネットワーク – Network
価値を生み出すためのアライアンスや協業、共同研究などのネットワーク力に着目します。
一組織のケイパビリティだけでなく他社とどう繋がり補完関係を描いているかがポイントです。
- アライアンス
- 協働
- 補完的提携
- 統合
- コーペティング
- フランチャイズ
- M&A
- オープンイノベーション
組織構造 – Structure
組織の持つ人材や資産に着目します。新規事業であれば両利きの経営や3階建て組織になっているかなどもポイントになります。
- 資産の標準化
- コンテンシー・センター
- 文献的マネジメント
- 報酬制度
- ITインテグレーション
- ナレッジ・マネジメント
- 組織デザイン
- アウトソーシング
プロセス – Process
業務遂行能力や実行力に近い項目かと思います。技術などの知的財産や生産方式などのSCMなどの強みもここに含まれますね
- クラウドソーシング
- フレキシブル・マニュファクチャリング
- 知的財産
- リーン生産方式
- 戦略的デザイン
- オンデマンド生産
- プロセス効率
売り物 – Offering
製品性能 – Product Performance
差別化された特徴・機能を持つ製品・サービスをどう開発するかというところに着目した項目です。
機能はもちろんですが、カスタマイズ性や使いやすさなども観点として含みます。
- 機能の追加
- 省エネ
- カスタマイズ
- 使いやすさ
- エンゲージメント機能
- パフォーマンスの簡素化
- 最上の製品
製品システム – Product System
補完的な製品やサービスをどのように生み出すかという観点です。
単一の製品・サービスではなく周辺の製品やサービスをパッケージングしたような売り方に代表されるようなソリューションという観点といった方がわかりやすいかもしれませんね。
- 補完的オファリング
- 拡張/プラグイン
- 統合オファリング
- モジュール・システム
- 製品バンドリング
- 製品/サービス・プラットフォーム
経験 – Experience
サービス – Service
自社の売り物の価値をどのように維持・増幅するかというところに着目します。
付加価値やコンシェルジュサービス、保証、パーソナライズサービスなど、製品やサービスを顧客が利用する際の経験をいかに向上させるかの手立ての事です。
- 付加価値
- オンシェルジュ
- 保証
- リース/ローン
- ロイヤリティ・プログラム
- パーソナライズ・サービス
- 最上のサービス
チャネル – Channel
製品やサービスを顧客にどう届けるかという事に着目します。
- 個別対応
- クロスセリング
- 多角化
- 経験センター
- 直接販売
- 間接販売
- オンデマンド
ブランド – Brand
自社の売り物やビジネスをどう表現するかという事に着目します。ブランドの強さなのでここはわかりづらいかもしれませんね。○○と言ったら□□というようなものです。
- ブランド拡充
- ブランド・ビバレッジ
- コ・ブランディング
- コンポーネント・ブランディング
- プライベート・ブランド
- 透明性
- 価値観の整合性
エンゲージメント – Customer Engagement
顧客やユーザーの心をつかむやり取りをどのように育てるかという事に着目します。有名な事例でいうとディズニーランドのレストランなどでやられているキャラクターによるおもてなし等が挙げられますね。
- 自立性と権限
- コミュニティと帰属意識
- キュレーション
- 経験の単純化
- 新しい経験の実現
- パーソナライゼーション
- 親しみやすさと人間味
10 types of innovationの活用方法
一つ一つを解説しましたが、使い方としては以下の図が最もわかりやすいと思います。
10個の同じ項目で競合にあたる各社を並べてみて、自社が光るところはどこか、自社はどこで勝負をするのかを明確にするのに使えます。
以下のケースでいうと、競合A、競合Bは「売り物」のところや「ブランド」で勝負をしているので、同じ土俵にあがらず「収益モデル」や「付帯サービス」「ネットワーク・チャネル」で勝負をかけるというようなポジショニングの戦略を描く事が可能です。
本当は「ビジネスモデル・シフト」や「プラットフォーム・シフト」「顧客経験・シフト」など、自社の重点を置く部分を切り替える事で新たな戦略を描くツールとしても活用されるのですが、こちらはご興味あれば、書籍などで確認してみてください。
コメント
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