大企業で新規事業を立ち上げ資金を調達する場合、多くは社内で投資委員会などに上申し、社内投資として資金を獲得するのだと思います。企業に所属しながら新規事業のための資金を確保するやり方にはどのようなものがありますか?
古くからある資金調達方法ではありますが、最近資金調達の方法として主流なりつつある手段にクラウドファンディングあります。身の回りにインターネットが当たり前になってきており、個人と容易に繋がれる環境が成熟してきているのが背景にあると思います。ここではクラウドファンディングについて従来の調達手段などとの比較も含めて解説したいと思います。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングの概念自体はそれほど真新しいというわけではなく、昔からある考え方のようです。「クラウドファンディング」という言葉が使われるようになったのは、既に閉鎖されておりますが、2006年8 月の「ファンダヴィログ(FUNDAVLOG)」というWebサイトで初めて使われた事がきっかけであるという説が有力です。
クラウドファンディングとは何かを簡単に説明しますと、銀行や投資家など金融の専門家でではない、一般の人々から集める資金調達手法を指します。
新規事業の企画がまだまだアイデア段階~MVPなどステージが初期の段階で用いられる事もありますし、最近よくFacebookなどを見ていると広告が表示されると思いますが、プロダクトをいくらか割り引いた形で購入して応援する場合もあります。
ステージが初期の場合は以下の赤線の段階ですが、こうした段階の調達は金額も数十万円~数百万円など少額なファンディングもよく見かけます。
従来の調達方法とクラウドファンディングの違い
資金調達方法には銀行からの融資やVC(ベンチャーキャピタル)からの出資があります。これらの手段との比較を以下に掲載致します。
銀行融資 | VC(ベンチャーキャピタル) | クラウドファンディング | |
デューデリデンス (価値やリスクの評価) | 有 | 有(厳しい) | 無 |
規模 | 小 | 大 | さまざま |
リスク/リターン | 低リスク | 高リスク高リターン | さまざま |
投資タイプ | 負債 | 株式 | さまざま |
回収 | 返済 | 上場 | 義務なし |
クラウドファンディングはもちろん資金を調達する事が一番の目的ですが、新規事業で活用する事でどれだけの人が共感し、応募をしてくれるのか(つまりはニーズ)がどれくらいあるのかをテストマーケするのに活用する事ができます。
こうした反応を見逃さないようにクラウドファンディングの計画を作成するのがよいでしょう。
歴代のクラウドファンディング調達額のランキング
これまでで国内でどの程度の成功事例があるのかを知っておくのもよいと思い、日本国内でのクラウドファンディングの調達額のランキングを掲載しておきます。
国内でクラウドファンディングを運営しているベンダーは複数ありますが、「Makuake」や「Camp Fire」「GREEN FUNDING」などが有名です。
今回は「Makuake」のランキングを参考にさせていただきました。
こうして見てみると蓄電池が上位独占していますね。クラウドファンディングには寄付型、購入型がありますが、以下はすべて購入型ですね。
サービス | 調達額 | |
第1位 | チェーンレス電気自転車 HONBIKE | 6億2365万円 |
第2位 | カスタマイズポータブル電源 EcoFlow RIVER 600 | 5億9267万円 |
第3位 | ポータブル蓄電池「DELTA Pro」 | 3億7649万円 |
第4位 | 次世代ポータブルパワーステーション「Monster X」 | 3億7332万円 |
第5位 | 次世代ポータブル電源「EFDELTA」 | 2億8121万円 |
クラウドファンディングの基本的な手順について
クラウドファンディングを実行する際、以下の段取りでクラウドファンディングの準備をしていきます。
- プロジェクトの目標(資金の用途や想定の調達額など)を設定する
- 利用するクランウドファンディングのサービサーを決定する
- 上記サービスに登録し、プロジェクトの基本情報の登録をする
- プロジェクトを運営に審査してもらい、承認が得られれば募集を開始
- 支援者を募るためのプロモーション、プロジェクトに参加してくれた支援者に定期的な情報提供
- プロジェクト完了。支援者へのお礼。