事業企画開発の投資判断で使えるファイナンスの知識とテクニック

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新規事業開発の投資判断で使える知識とテクニック 事業企画の基礎知識
新規事業開発の投資判断で使える知識とテクニック
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駆け出しプロデューサー
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既に他の記事で「WACC」や「NPV」「IRR」などの言葉やファイナンスの位置づけを勉強しましたが、実際に自分の事業企画を投資委員会に諮るために作業をしようとしても中々できません。一通りできるように解説をお願いできませんか?

BizDevPro
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誰もがファイナンスの勉強をしてきているわけではないので、投資案件で財務や企画部門に求められても答えられませんよね。ただ、内容を理解せずに資料作成をしてしまうと意味がない数字遊びになってしまいますので、求められている指標などが何を意味するのかなどをしっかり理解しながら意思を表明する事が大切だと思います。

仮想の案件を元に解説を進めていきましょう。

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新規事業開発におけるIRRやNPV算出の手順

今回は一つのプロジェクトを例に算出までの流れを解説しますが、別の記事でもファイナンスに触れていますのでそちらも見ていただければと思います。

新規事業開発で必要なファイナンス知識の基本
新規事業開発におけるファイナンス WACC・NPV・IRR

新規事業開発で新しい事業企画に対して社内で投資判断を仰ぐ際、企画部門などから投資判断基準が示されていると思います。企業によって採用している投資判断指標は異なりますが、代表的な投資判断指標は「NPV法(正味現在価値法)」と「IRR法(内部収益率法)」だと思います。それぞれ少しおさらいをしておきましょう。

NPV(正味現在価値)とは

簡単に言うと差し出すもの(つまり投資)と手に入れるもの(つまり収益)を比べる方法です。つまり新たに得られる事業価値という事になります。
上記の差がNPVとなりますのでNPVがプラス(つまり手に入れるものの方が多い)の場合は投資実行、マイナス(つまり差し出すものの方が多い)の場合は投資見送りという判断になります。
投資も収益も単に積み上げた金額で算出するのではなく、割引率というものを加味する必要があります。(割引率は解説すると長くなるのでここでは詳しく解説しません。)割引率はWACCを使います。
簡単にいうと、今回でいうと投資判断をする側(つまり会社側)のお金を使って事業をするわけなので、他にそのお金を投資して得られたはずの期待収益分だけ目減りさせますよという事です。この割引率は事業のリスクが高ければ高いほど通常は高く設定されます。

IRR(内部収益率)とは

こちらは簡単にいうと投資にかけたお金を運用した際の運用利回りや運用利率を指します。NPV(正味現在価値)がゼロになるような割引率でもあります。IRR(内部収益率)は資本コスト(つまり、企業が調達している資金のコスト=資金提供者が期待・要求している儲け)であるWACCと比較され、WACCをIRR(内部収益率)が上回っていれば投資実行、下回っていれば投資見送りという判断をします。

NPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)の関係
NPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)の関係

NPV(正味現在価値)は金額、IRR(内部収益率)は率になりますので、どちらか一方で投資判断をすればよいかというとそうではない(例えばIRRの率だけで判断してしまうと得られる価値の規模がわからない)ので、今回はこの2つの値を算出するところまで解説をします。

手順としては以下の流れで解説します。

  1. PL(損益計算書)を作成する
  2. フリーキャッシュフローを算出する
  3. IRR(内部収益率)を算出する
  4. NPV(正味現在価値)を算出する

新規事業開発における投資判断① PL(損益計算書)を作成する

まず、自身が手掛けている事業企画の収益見通しをPL(損益計算書)の形で作成します。

色々なやり方がありますし、私は専門家ではありませんので賛否はあると思いますが、私は以下の形で作成する事が多いです。※細かい部分で誤りがあったとしたらすみません。。イメージをつかんでいただく事が目的ですので、詳しくは専門の書籍などを参考にしていただた方がよいです。

新規事業のPL(損益計算書)を作成する
新規事業のPL(損益計算書)を作成する

PLはシンプルな例にしましたが、横軸に年度、縦軸に勘定科目を並べます。計算式と変数テーブルを作成しているのは、事業企画を見直す際に、各セルに計算式を埋め込んでしまうとシミュレーションも難しいので、見直す事が多い項目はテーブルとして外出ししておき、PL上でどのように計算に使っているかを計算式で明示するように工夫しています。

新規事業開発における投資判断② フリーキャッシュフローを算出する

続いてはフリーキャッシュフローを算出します。

新規事業のフリーキャッシュフローを作成する

PL(損益計算書)の営業利益の段階ではお金(キャッシュ)の実状が反映できていませんので、法人税や減価償却費、投資の金額を調整する必要があります。営業利益の中で既に引かれている減価償却費(上記でいうG)は足し戻し、実際にお金(キャッシュ)を支払った投資についてはマイナスにします。

新規事業開発における投資判断③ IRR(内部収益率)を算出する

フリーキャッシュフローまで算出できたらIRR(内部収益率)が算出できます。ExcelのIRR関数を用いれば簡単に算出する事ができます。

新規事業のIRR(内部収益率)を算出する
新規事業のIRR(内部収益率)を算出する

今回の例でいうと、例えばWACCが6%程度であったとしても、それを上回るパフォーマンスを出していますのでとりあえずクリアという事になります。

新規事業開発における投資判断④ NPV(正味現在価値)を算出する

最後にNPV(正味現在価値)を算出します。

新規事業のNPV(正味現在価値)を算出する

先に求めたフリーキャッシュフローをお金の時間価値を反映(割引率を用いてプロジェクトのリスクを反映)する必要があります。各年度で割引率適用後の現在価値を算出する公式を用いて現在価値に換算後、すべての値を合計するとNPV(正味現在価値)が算出されます。

この場合も算出結果がマイナスではなくプラスですので投資実行という判断になります。

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