新規事業開発の市場規模の算出で役立つフェルミ推定とは

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フェルミ推計の解説 ビジネスフレームワーク
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駆け出しプロデューサー
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リーンキャンバスなどを埋めていると市場規模の算出をしなくてはならないシーンが多くあるのですが、調査会社やシンクタンクのレポートなどを常にストックしているわけではないので、作業に行き詰ってしまう事があります。何かよい方法はないでしょうか?

BizDevPro
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ビジネスの検討を進めていく中で数字の精度についてはあげていく必要がありますが、まずはの段階ではフェルミ推定というテクニックは使われることが多いので解説したいと思います。

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新規事業開発でも役立つフェルミ推定とは

フェルミ推定とは、物理学者でノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミという方からつけられた名前です。フェルミ推定とは予想もつかないような捉えどころのない量を、いくつかの手がかりを元に論理的思考能力を頼りに推論し、短時間で概算する方法です。
よく、外資系コンサルティング会社の試験などでも採用されると言われ、流行した時期もありました。私が受けたデザイン思考の研修などでもそのテクニックが紹介されていましたので、覚えておくに越したことはないでしょう。
使いこなせるとまったく調べたことも無いようなテーマでの概算を求める事ができますので、非常に使い勝手がよいです。あくまで推定ですので、実際の数を調べる際には調査会社やシンクタンクのレポートなどを活用するのが良いと思いますが、会話の中で準備していない中で咄嗟に概算の数字を求められた際など、このテクニックが使えます。
フェルミ推定という言葉を知らなくても、新規事業開発に限らず仕事をする中でフェルミ推定によって概算をするシーンは多く遭遇しますので精度が少しでも高くコツをつかんでおくとよいと思います。

フェルミ推定で有名な例題やパターン

フェルミ推定ではよく見かける有名な問題がいくつかあります。
それらの例題を元にどのような手順でフェルミ推定していくのか理解を深めましょう。

例題1 地球上にアリは何匹いるか?

フェルミ推定でしか得られないような例題をピックアップしてみました。
世界を見渡しても実際にアリを数え切ってその数を答えられる人間はいません。このような捉えようがない数を得なければならないケースにフェルミ推定は力を発揮します。

手順① 概算を得るための筋道(計算式)の仮説を立てる

今回の例題であれば以下のように考える事ができます。

アリは陸地に住んでいるため、地球上の陸地の面積を洗い出し、考えやすい面積当たりで何匹のアリがいるかの仮説を立て、掛け合わせる。

手順② 可能な限り知っている数を材料として洗い出す

今回の例題の場合は以下のような数が使えます。

  • アリが生活しているのは陸地。地球上の陸地と海の割合はだいたい3:7の割合
  • 地球上の面積は510,100,000㎢。従って、陸地の面積はだいたい153,030,000㎢
  • 1㎡あたりにどの程度のアリがいるかを推定します。アリが実際に密集しているところといないところがあるかと思いますので難しいところですが、ここでは5匹くらいにしておきましょう。

手順③ 手順①の計算式に手順②の数を代入して概算を得る

実際に上記で設定した計算式に数を代入して概算を得てみましょう。

153,030,000(陸地面積) × 1,000(キロ換算) × 5(1㎡あたりのアリの数 = 765,150,000,000

今回は世界中に得られるアリの数は765,150,000,000(およそ7651億匹)という概算が得られました。

手順④ 得られた概算の妥当性の検証

実際に数えた人はいないので何とも言えないですが、何となく少なすぎる印象がありますね。1㎡あたりの数が少なすぎたのでしょうか。答え(?)は数兆~1京匹程度はいるとの事でした。
自分で得た概算の数字に違和感がある場合は上記で設定した計算式の項目が足りないか、設定した数字の大きさの精度が悪い事が想定されるため、その部分を軌道修正します。

例題2 日本のコンビニ業界の売り上げはどの程度の規模か?

今度の例では少しビジネスで実際に使われそうな例題にしてみました。
答えもありますので、最後に答え合わせもしてみましょう。

手順①  概算を得るための筋道(計算式)の仮説を立てる

まずは日本にどの程度のコンビニがあるのかを推定し、コンビニ1店舗あたりの売り上げを構造分解する事で得られそうです。コンビニの数については、1駅あたりのコンビニ数と日本の駅数あたりで積算してみましょう。コンビニ1店舗あたりの売り上げは客単価と1日の客数などで積算できそうですね。

手順②  可能な限り知っている数を材料として洗い出す

まずはコンビニの数の算出に使えそうな材料を洗い出します。

  • 日本にある駅の数はだいたい10,000弱くらい
  • 1駅あたりコンビニは平均5店舗と仮定

続いて、コンビニ1店舗あたりの売り上げの算出に使えそうな材料を洗い出します。

  • コンビニは24時間営業
  • 1時間当たりの来店人数は平均40人程度と仮定
  • 1人あたりの平均購入額は300円と仮定

手順③  式に手順②の数を代入して概算を得る

手順②の数を用いて計算していきます。

コンビニ数 = 10,000 × 5 = 50,000
1店舗あたりの1日の売り上げ = 24 × 40 × 300 = 288,000

手順④ 得られた概算の妥当性の検証

手順③で得られた金額は50,000 × 288,000という事で14,400,000,000となりました。これは1日になりますので365をかけると5,256,000,000,000ということで、5.26兆円という数が得られました。

今回は時間帯別の売り上げなどは構造分解しませんでしたが、ネットで検索したところによると業界規模は5.2兆円とありますので、まずまずの結果ではないでしょうか。(たまたまですが。。)

ちなみに、試験などでフェルミ推定の問題が出題される事もあると言いましたが、その際はフェルミ推定で得られる数の真偽は重要視されません。得られるまでの論理的な筋道が重要ですので、上記の例題のように前提条件や仮説をなぜそのようにしたのかをしっかり説明できるようにしておきたいですね。

フェルミ推定で使える覚えておきたい数字

これまで解説した通り、フェルミ推定では計算式の仮説を立てるところから始まりますが、色々な統計情報を知らないと仮説を考えるところで躓いてしまいます。
日本でのビジネスでフェルミ推定を使用するのであれば少なくとも以下のような数字はざっくりとでも押さえておいた方がよいと思います。ほんの一例ですがご紹介します。

  • 日本の人口(1億2,700万人:2019年)、世帯数(5,700万世帯:2019年)
  • 日本の国土面積(約37万8,000万㎢)
  • 平均寿命(男性が81.41歳、女性が87.45歳:2019年)
  • 労働力人口(6868 万人:2020年)
  • 大企業の数(1.1万社)
  • 中小企業の数(381万社)
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